【1】現状把握
現状では写真左のような握り押ボタン式が広く使用されているが、重度障害患者(例:筋ジストロフィーなど)の場合、握り押すことが不可能な場合がある。
そこで信濃医療センターでは市販のフットスイッチ(写真中)を改造して対応している。
また、使用者がフットスイッチを押す力を持たない場合は、コンパクトカセットのケースにスイッチを取り付けたものを職員が製作し代用している。
根元のコネクタ(写真右)は共通である。
【2】現状把握
上肢が不自由な場合、右図のように架台にフットスイッチを取り付け足先でスイッチを押すように工夫されていた。
しかし、誤作動を起こしやすい事、布団などで下半身を覆ってしまった場合に確実に押せたかどうか不明確な点など改良の余地は残されている。
【3】現状把握
下肢が不自由な場合はフットスイッチを胸に置き、手先でコールすることになる。
この場合は、スイッチの重さと手先の位置が重要で、現場ではタオルをパームレストにし調整を行っていた。
フットスイッチの流用の場合はスイッチの入力に力が必要である。
しかしあまり軽いスイッチの場合はホールド時に手の疲労させる。ここでも改良項目が見られる。
【4】現状把握
上肢下肢共不自由な場合は、枕元にスイッチを置き、下唇の段差を利用してスイッチを押していた。
(上肢障害者向けパソコン入力装置も下唇を利用したものがある)
【5】現状把握
ベッドサイド以外ではトイレが、ナースコールを必要としている場所にあたる。用便後のコールとして使用される。
トイレは洋式となっており、障害部位により姿勢が違うが大抵の場合、座位でうずくまるような格好になる。
ここでもフットスイッチが流用されており、便座に座らせてスイッチを抱かせるように持たせている。
【6】現状把握(聞き取り調査)
幾度かの調査によりに状況を絞込み、実際の使用者に聞き取りを行い、改良点を洗い出すことにした。聞き取り対象にしたのはそれぞれ違う位置でナースコールを使用している以下の方である。
●Aさん・・・上肢で障害が進み足先でコールを押す
●Bさん・・・胸にスイッチを置き手先でコールを押す
●Cさん・・・上肢・下肢共コールを押す力を持たず口でコールを押す
【7】現状把握(聞き取り調査)
Aさんの場合・・・足先でコールを押す。
●スイッチの重さは特に不満はない(押したときのクリック感が救い) ● 足にスイッチがあるので押したかどうかは認しにくい ● 冬場でも汗をかくことが多いので樹脂のスイッチは滑りやすい ● 1人で複数の看護を担当する看護師に気を使い誤作動に神経質になる。 ● 押しっ放しになるのではないかとも不安になる。 ● フットスイッチでは押す方向が一方のみで押しにくい。数センチずれると押せなくなる。
【8】現状把握(聞き取り調査)
Bさんの場合・・・胸元にスイッチを押す。
●スイッチは重い。もっと軽くてよい。 ● 誤作動は心配(職員への配慮) ● たんが詰まったときは死ぬほど苦しいので一刻も早く確実にナースコール出来るようにしたい(切実) ● ナースコール・テレビリモコン・ビデオリモコンなどが枕もとにあるので1つにまとめることは出来ないか?(それぞれのベッド周囲に置かれたものを見ると体の不自由が効かない代わりに知的欲求は健常者よりも強いのだと感じた)
【9】現状把握(聞き取り調査)
Cさんの場合・・・口先でスイッチを押す
● 口で押すには重過ぎるが、指で押し込むタイプでは使用できないので仕方なく使用している。
●コールバック(確認音)があると良い。
●一日に何回か寝返りを打たせてもらうのだがその度にコールを移動させるのは手間である。
【10】改良点と試作計画
調査の結果、おおよそ4タイプを用意すれば現在賄いきれない部分をカバーできることが判った。
★タイプ1・・・上肢不自由者の為の、架台などに取り付けて足先で使用するスイッチ。
★タイプ2・・・下肢不自由者の為の、胸元に置いて指先で使用するスイッチ。
★タイプ3・・・上下肢不自由者の為の、口で使用するスイッチ。
★タイプ4・・・バンドでどこでも取り付けられるコンパクトなスイッチ。